胎児ドック(出生前診断)
高度な専門性を有する医師が、最新の機器を用いて診断いたします。
胎児ドックとは
胎児診断(出生前診断)には、超音波(エコー)を使った検査や採血による検査、羊水や絨毛等による染色体疾患に対する検査があります。
染色体疾患に関する検査はいくつかの種類があり、大きくは「非確定的検査」と「確定的検査」に分けられます。
非確定的検査と確定的検査
非確定的検査は、染色体異常のリスクを見つける検査です。妊娠初期超音波ソフトマーカー検査や母体血清マーカーで検査します。母児への侵襲が少なく、妊娠週数の早い段階から検査を受けることができます。
確定的検査は診断を確定する検査です。麻酔下に、羊水や絨毛組織の採取を行います。胎児の細胞自体を検査するものです。
- 超音波検査
-
染色体疾患に対する検査
- 非確定検査
- 母体血清マーカー
- コンバインド検査
- 新型出生前診断(NIPT)
- 確定検査
- 羊水検査
- 繊毛検査
カウンセリングについて
胎児診断の受診に際しては、専門医による遺伝カウンセリングを、原則ご夫婦で受けていただきます。
検査前のカウンセリングは、検査に関する正しい情報を深く理解していただくことで、検査を受けるかどうかご判断いただくことを目的としています。少しの疑問でも医師に質問し、納得するまでご相談ください。
当院では患者さまお一人おひとりに、最適な検査をご提案させていただきます。
検査スケジュールと内容
日本産科婦人科学会では、赤ちゃんの形態の変化を見つけるために必要な胎児超音波検査の回数を、妊娠初期(妊娠10~13週)、妊娠中期(妊娠18~20週)、妊娠後期(妊娠28~30週)の3回と提言しています。
当院では、妊娠初期・中期に重点を置いて検査を行います。
妊娠初期(妊娠13週まで)の検査
- 妊娠11~13週
- FMFコンバインド・プラス
- 妊娠11~13週
- 妊娠初期精密超音波検査
- 妊娠11~13週
- 絨毛検査
妊娠中期(妊娠14~28週)の検査
- 妊娠15週以降
- 羊水検査
- 妊娠15~18週
- 胎盤・さい帯ドック
- 妊娠15~21週
- 妊娠中期母体血清マーカー
- 妊娠18~21週
- 妊娠中期精密超音波検査
- 妊娠24~28週
- 胎児心臓ドック
FMFコンバインド・プラス
超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせるため“コンバインド”検査と呼ばれます。胎児がダウン症候群等の染色体異常を持つ確率を計算します。超音波で検査することにより、胎児の大きな形態異常を発見することができます。
当院では、イギリスのFMF(Fetal Medicine Foundation)の資格を持った医師により、精密に検査を行います。
精密超音波検査
精密超音波検査は、通常の妊婦健診で行う超音波検査とは異なり、お腹の赤ちゃんの形態や発育状態を、より精密に観察し、赤ちゃんの病気の可能性について調べる検査です。
- 妊娠初期(妊娠11~13週)
- さまざまな臓器が形成されるこの時期の赤ちゃんを、全身の形態、脳や顔の構造、心臓の構造、腹部、膀胱、臍帯、四肢の確認など、形の状態を確認します。
- 妊娠中期(妊娠18~21週)
- 形成された臓器が発育するこの時期には、赤ちゃんの心臓をはじめ、内臓が小さいながらもかなり見えるようになり、脳、顔面、心臓をはじめとする各臓器、外性器、四肢、さい帯、胎盤を詳細に確認します。
絨毛検査
絨毛(じゅうもう)は、将来胎盤となる部分です。絨毛検査は超音波画像を確認しながら、妊婦さんのお腹に針を刺して細胞を採取します。絨毛検査では、染色体の形と数の変化を確認することにより、染色体疾患全般を調べることができます。
羊水検査
羊水検査では、染色体疾患を調べることができます。超音波画像を確認しながら、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取します。羊水中の赤ちゃん由来の細胞から、染色体の形と数の変化を確認し、診断を行います。
胎盤・さい帯ドック
さい帯(へその緒)の血管数、胎盤からさい帯が出ている場所まで詳細に観察し、胎児へ血流がうまく流れているかどうかを確認します。胎盤体積や子宮動脈・血流の計測などから妊娠高齢症候群のリスクを予測します。また、前置胎盤、前置血管、低置胎盤など、胎盤の位置異常についても詳細に評価します。
妊娠中期母体血清マーカー
胎盤や赤ちゃんで作られるタンパク質は妊婦さんの血流に入ります。
母体血清マーカー検査では、血液中に含まれる胎盤や赤ちゃん由来のタンパク質を解析することにより、ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形の可能性を調べることができます。
胎児心臓ドック
赤ちゃんの心臓の形に大きな異常があっても、お母さんの子宮の中にいる間はへその緒を通して循環が保たれるため、通常は赤ちゃんに危険はありません。しかし、生まれてすぐに赤ちゃん自身の循環に変わるため、突然チアノーゼやショックになることがあります。そのような疾患を胎児のうちに早い段階で見つける検査です。
赤ちゃんに心臓疾患の疑いがあるときは、生まれてすぐに手術が受けられる、専門の医療機関で出産できるよう、当院よりご紹介させていただきます。